小沢さん
社員インタビュー
今回の社員インタビューは、創業初期から株式会社EFAラボラトリーズ(以下、EFA)のアスベスト分析を支えている、小沢絢子さんです。小沢さんは日本における偏光顕微鏡分析の第一人者で、一般社団法人日本環境測定分析協会(JEMCA)でインストラクターとしても活躍しています。国内外のアスベスト分析の事情をみてきている小沢さんに、いろいろなことを聞いてみました。
小沢絢子さん
京都大学大学院/地球惑星科学専攻/修士課程修了
2006年3月からEFAの業務にたずさわり、分析部のマネージャーを務める。JEMCAのインストラクターとしても活躍し、たくさんの人に偏光顕微鏡の使い方、正しいアスベスト分析の方法を広めています
(インタビュアー(金子)のコメントを太字にしています)
「EFAで着実に世界標準のスキルが身に付く」分析部マネージャー小沢さんへインタビュー!
──小沢さん、今日はインタビューよろしくお願いします。
なかなか改まって話をする機会がないので、今日のインタビューを楽しみにしていました。いろいろ教えてください!
そうですね。普段は改まって話さないですよね。よろしくお願いします。
──小沢さんはたしか京都大学の学部生の時から、いろいろな鉱物を偏光顕微鏡で分析してたんですよね?
はい。地球惑星科学専攻だったので、採取した岩石の薄片を偏光顕微鏡で見て『どういう鉱物が入っているか?』を調べるのが、研究手順の一部に入っていました。それで大学3回生から博士課程修了まで7年くらい偏光顕微鏡を使ってました。
──では、アスベスト分析を始めたときは、そんなに苦労しなかったんですか?
うーん・・・顕微鏡の使い方は大丈夫でしたが建材の知識はまったくなかったので、建材の種類やそれぞれの処理方法をおぼえるのに、結構時間がかかりました。たとえば床タイルの場合は、削って細くして溶かした中に細かい繊維があるかどうかを探すんですが、最初のうちは何を探せばいいのかわからなくて・・・
──小沢さんは創業の初期からEFAをずっとみてきていますが、どんな役割の会社だとおもいますか?
”日本に本格的に偏光顕微鏡分析を導入した会社”といっていいんじゃないでしょうか。EFAが偏光顕微鏡分析を開始した2007年にも、米軍基地向けに偏光顕微鏡でアスベスト分析をおこなう会社はありましたが、民間向けに広げたのはEFAが最初だったと思います。
今は偏光顕微鏡分析をしている分析機関が増えましたが、それでも困ったことがあると、ほかの分析機関からEFAに問い合わせがきますよね。
──よく寄せられる質問はどのようなものですか?
多いのは『仕上塗材の層の分け方を知りたい』とか、『変な見た目の繊維があったけどなんなのかわからない』といった質問ですね。
分析中の小沢さん
■海外の分析者との違い。日本は基礎トレーニングが足りてない!?
──つぎは、個人的に聞いてみたい質問なんですが・・・
いままでアメリカやイギリスの分析者と話す機会もあったと思いますが、日本と海外の分析者でトレーニングの違いを感じたことはありますか?
建材分析のトレーニングコースがアメリカだと1週間ほどなんですけど、日本でトレーニングを提供しているJEMCAで2日、顕微鏡メーカーだと1日なので、日本だと結晶光学みたいな基礎知識のトレーニングが、ちょっと足りてないのかなって感じます。
──足りないというのは、どういうところで感じるんですか?
普通の分析はできるにしても、ちょっと変わったことが起きたときに『どうしてそういうことが起きてるのか?』っていうのは、背景知識がないと理解できないと思います。見え方が変な繊維が見つかったときや、熱で変性している繊維に出会ったときには、掘り下げて考えて判断しないといけない。そのときに、正しい基礎知識がないと分析ができないですよね。
──ほかにも、海外の分析者との違いを感じたことはありますか?
分析者個人のスキルの差については、普段分析している建材が違うのでよくわかりません。やはりスキルというより、普段見ている建材の違いが大きいのではないかと思います。アメリカやイギリスの分析者と話をしたら、日本みたいな複層仕上塗材はほとんど分析しないみたいですので。セピオライト(天然に産出される粘土鉱物)もほとんど見たことないといっていました。
──日本全体で、アスベスト分析が抱える問題はなんだと感じますか?
多くの分析者と接していると、誰かに決めてもらったり他の人の基準に従ったりすることで、自分自身が怒られない方法を探しているように映ることがあります。もしかすると分析者だからというより、日本人の国民性かもしれませんが・・・。
根拠をしっかり理解し、自分で解釈をもって分析されている方は少ないと感じますね。偏光顕微鏡をアスベスト分析で初めて触る人がほとんどで、なかなか自信が持てないというのが理由のひとつにあるのかなと思います。
EFAに入社したアナリストは米国MICA研究所のPeter Cookeによる研修を受講し、修了証はラボ内の壁に掲げられている。常にアスベスト分析に関する最新情報を取得できるよう、海外とのネットワークを構築中。
■未経験者には”実演”と”図解”でわかりやすく!対話重視でトレーニングを進めています。
──偏光顕微鏡のアスベスト分析をする人は、入社まで未経験の人がほとんどだと思います。小沢さんが未経験者をトレーニングするときに、気をつけていることってありますか?講習会もあり、今まで多くの人にトレーニングをしてきていますよね。
なじみがない概念については図を使いながら、わかりやすい伝え方になるように気を付けています。あとはひと通りこちらで説明したあとで、今度は自分の言葉で説明してもらうようにしてもらって、どのくらい理解できているかをよく確認しています。
──ほかにも気を付けていることはありますか?
自分が分析をはじめたのがかなり前なので、自分にとって当たり前すぎて無意識になってしまっていることがあるので、一つ一つ意識して研修者が理解しているかを確認しています。
──今まで見てきて、全員がつまずく『最初の壁』はどのようなことですか?
そうですね。一つ目の壁は『結晶内の光の進み方』の理解ですね。普通は学校で習うこともないので、実演と図解で教えるようにしています。
──アスベスト分析を始めるときに大変なことはどのようなことですか?
身体面では想像がつくかもしれませんが、首がものすごく凝ります(笑)あと、顕微鏡をずっとながめていると最初のうちは酔ってしまうといいますね。これは1週間くらいでなれるみたいです。もう私は覚えていませんけど・・・(笑)
──小沢さんはいろいろな講習会でたくさんの人に分析を教えていますが、EFA社内のトレーニングとほかの講習会で、教え方に違う点はありますか?
使える時間が圧倒的に違いますので、EFA社内トレーニングでは対話重視で行っています。講習会だとやっぱり、ひとつひとつ丁寧に教える時間はそこまでとれません。
──教えることで小沢さん自身が得るものもあるんでしょうか?
じっくりと未経験の方に教えることは、自分にとっても面白く勉強になっています。未経験の方だと思い込みがほとんどないので、質問が根源的なものもあって試されている感じです。自分では当たり前すぎて、考えたことがなかったり言語化できないことを聞かれたりするので、その説明がちゃんとできると自分もレベルアップした気になりますね(笑)。
■『自分で考える人』『探究心がある人』が伸びていく!
──では、インタビュー最後の質問ですが、
いろいろな人に分析を教えてきたなかで、どんな人が伸びましたか?
質問をたくさんしてくる人は、よく成長する印象がありますね。どういうことか理解できないことがあると、自分が納得するまで調べる探究心がある人とか。あとは、自分がどうやって解釈しているかを、自分の言葉と経験で説明をしようとする人もレベルアップが速いです。
逆に、突き詰めて考えずに『まぁいっか』ってなる人や、『他人からできると思われたい』ってモチベーションで取り組みをしてる人は、なかなか上達しませんでしたね。しっかり自分で考えて、いい質問をしたり根拠を口にしたりすることが、やっぱり大切なんだと思います。
──対話をしながら分析の技術と知識をじっくり身につける。それがEFAに根付いているトレーニング法なんですね。
今日のインタビューは、これで終わりです!小沢さん、いろいろ教えていただきありがとうございました!
偏光顕微鏡のスペシャリストだった小沢さんは、その強みを活かしたアスベスト分析でさらに技術を磨き、日本中のアスベスト分析者たちから認識されています。
株式会社EFAラボラトリーズでは、日本をよくするために分析者を募集しています。顕微鏡をさわったことがない未経験者も、じっくりとスキルが身につくように小沢さんがトレーニングしてくれますので、興味があるかたはぜひご連絡ください!
興味がある方は以下のボタンをクリックして募集要項をご覧ください。
インタビュアー:金子岳史
株式会社EFAラボラトリーズ/執行役員COO
成長したい!環境に役立つ仕事をしたい!というかたと一緒にはたらきたいです。
インタビュー実施日:2020年7月2日